入稿と出稿の違いを知っていますか?
私達の業界ではよく耳にする「入稿」と「出稿」という言葉ですが、よく考えてみるとその違いを厳密には理解せず使っているように思います。
ちなみに
excite辞書(=三省堂大辞林)では、
にゅうこう[入稿]
(1)出版社が原稿を組版所へ渡すこと。
(2)出版社が著者から原稿を入手すること。
しゅっこう[出稿]
新聞・雑誌などに広告を出すこと。
にゅうこう[入稿]
(1)印刷するための原稿を印刷所に渡すこと。「写真原稿を―する」
(2)原稿を著者から入手すること。「―待ち」
しゅっこう[出稿]
(1)原稿を印刷所などに出すこと。
(2)新聞・雑誌・テレビ・ウェブサイトなどに広告を出すこと。出広
となっています。
活版からコンピューター時代へ
もともとは、例えば文字原稿に関して言えば、活版印刷時代に原稿用紙に書かれた原稿を(印刷所の)組版部門に、写植時代には同じく原稿用紙などに手書きされた紙の原稿を写植オペレーターなどに渡すことを入稿(出稿)と呼んでいましたが、今ではもっと広義に
- 著者から印刷会社へ
- 広告主から代理店や媒体へ
- 編集者からデザイナーへ
- デザイナーから印刷会社へ
- 印刷会社の営業から製版部門へ
などの流れで
- 手書きの文字原稿やテキストデータ
- ポジフィルムやイラストなどの画像原稿
- デジカメ撮影した画像データやスキャンデータ
- アプリケーションソフトでレイアウトされたデータ
などの原稿を渡すことを指して使っています。
ところで肝心の「入稿」と「出稿」の違いですが、文字どおり「入稿」は原稿が入る、「出稿」は原稿が出ることですので、印刷会社など受け取る立場からみれば、原稿が届くことが「入稿」、原稿を渡す方の立場からみれば原稿が手元から出て行くことで「出稿」、つまり原稿を挟んでそれぞれの立場の目線からとらえるのがもっとも一般的な使い方のようです。
ですので上記のデジタル辞書で「出稿」が「広告を出すこと」になっているのも、クライアントが代理店や媒体に広告用の原稿(データ)を渡すことを指しているわけです。
下版とは
あと、「下版」という言葉もありますが、これは校了後に、活版印刷なら組版を下ろして印刷機へ、オフセット印刷なら、フィルムや校了データを刷版にまわすことを指して言います。
したがって下版になればもう修整・変更を加えることはできないわけです。