DICカラーガイドとは
オフセット印刷のインキは大きく分けて、4色カラー印刷用のプロセスカラー(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック」と特色印刷用があります。
そして特色印刷の際に印刷の現場に色指定を伝えるために使うのが、今回取り上げた「DICカラーガイド」です。
DICカラーガイドとは、DICグラフィックス株式会社(旧名:大日本インキ化学工業)というインキメーカーが発行している色見本帳のことで、印刷業界に限らず、ファッション、インテリア、プロダクトなど幅広い分野で活用されていますのでご存知のかたも多いと思います。
特にグラフィックデザイナーや印刷会社の人間にとってはこれ無しでは、お互いに色に関しての意思疎通が難しくなってしまいます。
日本ではDIC、海外ではPANTONE
印刷業界では、DIC(旧大日本インキ)だけでなく、東洋インキやサカタインクスなど沢山のインキメーカーがあって、それらのインキも幅広く使われているのですが、なぜかDICカラーガイドは1968年の初版が発行されて以来、デイファクトスタンダードとして広く普及していて、他のメーカーのカラーガイドもあるにはあるのですが、ほとんど見たことがありません。
ただ、世界的にみれば、ディファクトスタンダードはPANTONEであり、DICカラーガイドはほとんど海外の印刷会社やデザイナーには通用しないようです。(因みにPANTONE社はインキメーカーではなく、最初から色見本帳を作る会社でした)
からふね屋でも、一応PANTONEのカラーガイドも用意していますが、PANTONEで色指定をされるお客様は非常に少ないのが現状です。
DICカラーガイドは全10巻
DICカラーガイドは、下記の通り現在6シリーズ全10巻のラインナップが揃っていますが、からふね屋もこれらのすべてを保有しています。
DICカラーガイド(643色、1~654番、欠番あり)
1巻(257色)
2巻(244色)
3巻(142色)
DICカラーガイド PART2(637色、2001~2638番、欠番あり)
4巻(240色)
5巻(240色)
6巻(157色)
日本の伝統色(300色、N-701~N-1000番)
中国の伝統色(320色、C-1~C-320番)
フランスの伝統色(321色、F-1~F-322番、欠番あり)
グレイトーンカラーガイド(323色、G-1~G-323番)
カラーガイドの使い方は、印刷原稿の入稿時にデザイナーさんなどが、特色印刷の場合の色指定として、このカラーガイドのチップ(カラーガイドのそれぞれの品番にはミシン目が入っていて小さく切り離すことができます)を添えます。
昔は版下にカラーチップを貼って入稿することが一般的だったのですが、最近はデジタル入稿がほとんどのため、デザイナーさんからカラーチップを受け取ることはめっきり少なくなりました。
ただ、印刷会社では、印刷オペレーターへの指示として必ずプリンターの出力見本を添えますので、そこに指定色のカラーチップを今でもよく貼っています。
昔は職人の手で、今は機械でインキを調合
このカラーチップで指定された特色インキは、昔は印刷オペレーターが数種のインキを調合して手で練って作っていたのですが、最近は自動の調色機という便利なものがあるので、以前に比べて格段に色合せは楽になってきています。
それでも、カラーガイドはあくまでもアート紙に印刷した場合の発色見本ですので、異なる紙で印刷する場合はデータどおりに印刷しても同じような色目にならないので、そのときは色調整に時間が掛かります。
スウォッチカラーはあくまでも近似色
ところで、デザイナーさんがカラーチップを添えて入稿することが少なくなったと言いましたが、その代わりにイラストレーターのカスタムカラーでDICナンバーを指定されるケースは時々あります。
ただ、気をつけないといけないのはイラストレーターのスウォッチ内にあるDICカラーガイドの色はあくまでもプロセスカラーの掛け合わせで設定した近似色であるうえ、カラープリンターなどに出力した色と実際のチップの色とでは大きな色差がでる場合があります。
色指定にスウォッチのDICカラーを使用したデータ入稿する際は、プリンターなどに見本出力の色に印刷を合わせるのか、DICナンバーのチップの色に合わせるのか、しっかりと印刷会社と意思疎通をはかる必要があります。