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京都仁王門上ル下ル

学び直した確かな技術で地元に愛されるフランス菓子をつくる 【ル・パレ・グルマン・スギモト】


20年以上も続く町のケーキ屋さんです。
毎日前を歩いているのですが、すっかり町の景色に溶け込んでおられます。
オーナーのお父様は私の小学校の校医さんでした。

13年の現場経験を積んでからもう一度学ぶためにフランスへ

二両編成の路面電車がまだ三条通を走っていた1993年にオープンした「ル・パレ・グルマン・スギモト」。
オーナーシェフの杉本正樹さんは、奥さんの典子さんとともに22年もの間、地域の人に愛されるフランス菓子店を続けている。

グリーンのテントが目を引く店は、入口の壁やショーケースの足元などいたるところに伊賀焼のレンガがあしらわれている。

ル・パレ・グルマン・スギモト 外観
お店は三条通に面している。店名に冠した「パレ・グルマン」には食の宮殿の意味がある

「あたたかな雰囲気のお店にしたかったんです」。そう語るのは典子さんだ。
典子さんは接客を担当し、個性豊かに活けた花で店を飾っている。
ここは夫婦二人で築き上げてきた小さな城である。

ル・パレ・グルマン・スギモト 店内装飾
典子さんの感性が光る個性的な店内装飾

正樹さんは典子さんに「お菓子は化学。材料が同じでもつくる人が違えば違うものになるし、分量が1g違うだけでもまったく別のものになる。そこがおもしろく、その違いにつくり手の個性があらわれる」と話すことがあるそうだ。
だが正樹さんは、1gの違いが味を左右することにやりがいを感じる一方で、ある時期はそれに悩まされたという。

大学を出てすぐに就職した洋菓子製造会社で営業職に就くつもりが、当時の社長のすすめでパティシエの道に進んだ正樹さん。実戦の場で経験を積めば積むほど、技術の疑問に対する理論的な答えが欲しくなり、その気持ちが抑えられなくなると、ある決意を固めることになる。

「学校へ通って、もう一度学び直す」。

13年勤めた会社を辞めるとすぐに国内の専門学校で学び、さらに学ぼうとフランスへも渡り、本場の技術と感覚を持ち帰った。

ル・パレ・グルマン・スギモト オーナー名刺
オープン当初から使い続ける正樹さんのイラストはこの店の店舗デザイナーが、当時の姿ではなく20年後を想定して描いた。
円熟味をましたパティシエの姿が誰の目にも想像できたのかもしれない

アップルパイや軽い口当たりの生クリームを使ったケーキが人気

名物の「アップルパイ」は、典子さんがりんごを好きなこともあってつくりはじめた。正樹さんのレシピのベースには、フランスで食べたアップルパイがあり、特徴について典子さんはこう話す。
「パイ生地の上にりんごを乗せるのではなく、パイ生地とりんごの間にアーモンド生地を敷いて風味よく仕上げているんですよ。りんごは青森の農家さんから仕入れているサンフジを使っています。煮くずれしないので、うちのアップルパイには合いますね」。

ル・パレ・グルマン・スギモト アップルパイ
20年来愛されている「アップルパイ」470円(税別)

ケーキはどれも素材の味を引き出し、京都の人に愛される風味を心がけている。本場リヨンで学んだモンブランは創業当時から評判。自慢の生クリームをたっぷり使っている。

 生クリーム、カスタードクリーム、チョコレートクリームの味に、パティシエの腕がでると常々話す正樹さん。その正樹さんのつくる生クリームは口当たりが軽く、幅広い層にファンがいる。
男子大学生からは、生クリームだけを詰めるシュークリームもつくってほしいとリクエストがあった。それを形にした「生シュー」は人気商品として定着している。

ル・パレ・グルマン・スギモト シュークリーム
あっさりとした生クリームをたっぷり詰めた「生シュー」250円(税別)

おすすめベスト3は「モンブラン」「ロールケーキ」「アップルパイ」。ロールケーキは食の専門誌も取材に訪れたそうだ。
油で揚げず、オーブンで焼いた「焼きドーナツ」もある。

ル・パレ・グルマン・スギモト ドーナツ
子供にも人気の「焼きドーナツ」140円(税別)

子供の目線にたった工夫も。子供たちが喜ぶお菓子をつくる

店内の一角にはイートインスペースを設け、つくりたてのお菓子をお茶と楽しむこともできる。イートインのスペースを設けたのは、正樹さんが勤めていた会社の社長のすすめがあったからだ。
「オープンする時に、お店はお客さんによってつくられるから、お客さんに居てもらえる場はつくった方がいいとおっしゃってくださったんです」と典子さん。
はじめは慣れない接客業に戸惑うこともあったそうだが、「今では社長がおっしゃった言葉の意味がよくわかります」と話す。
「確かにお客さんが店に活気を与えてくれますね。お客さんから、たくさんエネルギーをもらっています」。
ル・パレ・グルマン・スギモト 店内
「地域の子供たちも気軽に来てほしい」と典子さん。
窓際にはリズミカルに動く人形もたくさん並べ、子供たちにとって楽しい店であるよう工夫している。
ル・パレ・グルマン・スギモト 窓辺の人形
店内には子供の目線にあわせた低い陳列棚も用意。ここに並ぶ焼き菓子は外国人客にも好評。外国の子供たちも笑顔でお菓子を選んでいる。

路面電車はとうに廃線になり、仁王門界隈の様子も街並みもすっかり変わってしまったが、正樹さんのつくるお菓子が人を幸せにし、夫婦の店が多くの人を喜ばせることは、今後も変わることがないだろう。
地域の人に愛されるフランス菓子店。
創業当時に思い描いた路線の上を今後も走り続ける。
ル・パレ・グルマン・スギモト 行灯
(構成・文/古都真由美 写真/からふね屋 古都真由美)

ル・パレ・グルマン・スギモト
住所:京都市東山区三条通大橋東入三町目35
電話:075-761-6200
URL:https://localplace.jp/t000451822/
営業時間:平日=12時~18時  土・日曜=12時~19時
定休日:月曜、火曜

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