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ホテルで腕を磨き、地域で20年続くビストロのポテンシャルに唸る 【ビストロ ヴェルジュ】


オーナーシェフは中学のときの同級生です。
お父さんのころは「高砂」といううどん屋さんで
今でも店の軒先に看板の名残の駕籠が残っています。

麺処の4代目が進んだ道は華やかなホテルのフレンチシェフ

川端二条を東に入った通り沿いに、「ビストロ ヴェルジュ」がオープンしたのは1998年のことだ。
オーナーシェフの小川潤さんは、大正から昭和にかけて3代続く麺処「高砂」の家に生まれたが、跡は継がず、早くからフレンチの道を目指した。

学校を卒業後は京都市内のホテルに勤務。2つのホテルで約13年経験を積んでいる。
麺類といった日常食の対極にあるフレンチの仕事に、華やかなホテルで従事しようと決めた理由は記憶の中で薄れつつあるが、「(ホテルの厨房で働けば)たくさんの食材を使って、いろんな経験を積めると思った」と、当時の気持ちは今でも蘇る。

ヴェルジュ シェフの小川潤さん
シェフの小川潤さん

バブル景気の真っ只中のホテルで、贅沢なコース料理をさんざん手掛けた小川さんは、やがて自分の店をとなった時、その延長線上にあるような世界をつくろうとは思わなかった。
「もっといろんなお客さんに来てもらえるような店にしたい」。
生家の麺処を一新した赤いテントの小さな店は、界隈にはなかったビストロを名乗った。ランチは800円から。値段は今もほとんど変わっていない。

ヴェルジュ 外観
赤いテントと店先のグリーンが遠くからでも目に留まる

美味しいものを求める男性ひとり客も珍しくない。洋食の魅力を再確認する料理の数々

5年程前の改修工事の際には1階の天井を取り払い、店には気持ちのいい吹き抜け空間ができている。
若い女性デザイナーとともにつくりあげた店内は、壁の一部をボルドーワインの色に染めた。

ヴェルジュ 内観
以前より広く感じるようになった店内には南向きの窓から陽が差し込む

料理を運ぶなどして補佐をする奥さんの淳子さんは、そんな空間をさらに飾ろうとしたが、シェフは「飾らなくていいよ」と言ったという。
程好い余白は、男性客の居心地のよさにつながるとシェフは考える。
それを証拠に、男性のひとり客が少なくない。ある日の夜も男子学生風の客がひとり、隣のテーブルには本格フレンチをひとり味わう大人が悠々と過ごしていた

ヴェルジュ ロゴ
男性ひとりでも気軽に利用できるビストロ

メニューは昼夜ともにアラカルトとコースがある。アラカルトで迷った時は、「黒毛和牛のシチュー」(1,600円)か「京都ポークと和牛のハンバーグ」(1,030円)のどちらかを、もしくはその両方をオーダーしてみてほしい。

いい具合に脂の入った和牛の肩バラ肉(ブリスケット)を使い、丸2日かけてつくるシチューは本当にやわらかい。丁寧にとったフォンドボーのソースも評判で、煮込み料理はシェフの得意とするところだ。

ヴェルジュ 黒毛和牛のシチュー(1,600円)
黒毛和牛のシチュー(1,600円)は赤ワイン(グラス460円)と合わせてもいい

ハンバーグは、和牛と京都ポークの配合比率を検討して自分の味をつくった。「一般的には和牛が6、豚肉は4でしょうが、それを和牛7にしたらしっくりいきましたね」とシェフ。
京都ポークは黒豚よりもあっさりとしているそうだが、それを和牛とうまく合わせたハンバーグは、肉そのものの美味しさが強く印象に残る。

ヴェルジュ ハンバーグ(1,030円)
ハンバーグの名作といってもいい京都ポークと和牛のハンバーグ(1,030円)

店を改装してからは料理の幅も広げ、なんと唐揚げも用意した。シチューもハンバーグも唐揚げも載っている「昔ながらの洋食メニュー」一覧は必見だ。

ヴェルジュ 鶏のから揚げ(870円)
揚げる寸前に衣をまぶすなど随所に工夫を凝らしジューシーな風味に仕上げた鶏のから揚げ(870円)

日常に根差し、多くの人に愛される店をこれからも続けて

15名も入れば満席になる店には地元住人から学生、サラリーマンまで、幅広い層が訪れている。地域に愛される店を目指しているのは、今も昔も変わらない。

ホテルで腕を磨いたフレンチのシェフという矜持は、歳を経るごとに胸の奥底に静まっていくのだろうか。
「これからはジャンルを超えてもっといろんな料理を出していきたい。ひとつの食材を、どうやったら美味しくできるのか。それを探求していきたい」と話す。

その実践でもあるのか、店を改装する少し前からは野菜づくりにも精をだすようになった。
今は京都洛西の大原野で玉ねぎやズッキーニ、ブロッコリー、茄子といった野菜を自らの手で育てる。
むろん店でだすすべてをまかなうことはできないが、収穫があった日はサラダやオードブルで有機栽培の野菜を提供している。

ヴェルジュ 前菜
新鮮な野菜をサラダやオードブルで提供。魚介は漁港から直接仕入れている

客の声にも臨機応変に対応している。ディナーコースは3,600円からだが、その価格が経済的に少し厳しいと素直にもらした若い人の声に応え2,550円の「プチディナーコース」も用意した。
まるで定食のように、メインとご飯、スープをセットする「晩ご飯セット」(1,030円)もある。

「もっといろんなお客さんに来てもらえるような店にしたい」。

創業当時の思いは薄れるどころか、ますます磨きがかかる。
毎週決まった曜日に訪れる人、地域の集まりで店を貸し切る婦人方。普段の席数をオーバーする20名がぎゅうぎゅうになって利用したこともあったそうだ。

人生の大半を費やして磨いた料理の技術は、多くの人の日常を満たしていく。
食がもたらす幸せを、町の小さなビストロが教えてくれる。

ヴェルジュ 小川潤さん淳子さん夫妻
小川潤さん淳子さん夫妻

(構成・文/古都真由美 写真/からふね屋 古都真由美)

ビストロ ヴェルジュ
住所:京都市左京区二条通川端東入難波町218
電話:075-771-2672
URL:https://www.bistro-verjus.com/
営業時間:12時~14時半、18時~22時
定休日:水曜

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