UV(紫外線)と印刷の関係は?
暦の上では今日は大寒、1年で一番寒さがピークを迎える時期に差し掛かりました。
今年は暖冬と言われ、例年に比べると寒さはましとは言うものの、暖かな日差しが待ちわびしい今日この頃ですが、今回のテーマはずばり「UV」、つまり紫外線です。
昨今は日焼けの元凶としてあまり評判がよくない紫外線ですが、実は免疫力を高めたり、殺菌・消毒効果があったり、ビタミンDを体内に生成したりと、効用面もいろいろあります。
でも、お肌や健康の話題はさておき、印刷の世界では、その紫外線を利用した「UV印刷」というものがあります。
印刷と紫外線、一見関係がないようですが、普通、印刷用の油性インキは主に空気中の酸素との反応(酸化重合)によって自然乾燥するのに対し、印刷インキの中には、UV(Ultra violet)を照射することによって硬化させ、即時に乾燥するものがあります。
このUVインキをつかって、UV照射の機能の付いた印刷機で印刷するのが「UV印刷」と呼ばれるものです。
印刷技法的には、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷などで活用されていますが、特に最近は短納期化の流れに乗ってオフセット印刷での普及が進みつつあります。
UV印刷の特徴は?
このUV印刷の特徴としては、
1.乾燥が早い
通常の油性インキは自然乾燥のため、紙質にもよりますが長いものでは48時間以上かかるのに対し、UVインキは瞬時(0.数秒)で硬化します。
したがって裏映り(汚れ)の心配がなく、即時に裏面印刷や断裁などの後加工に取り掛かることができ、作業効率が格段に良くなります。
また、自然乾燥の遅い特殊紙(例えば竹尾さんではUV印刷を推奨している紙がいくつかあります)、合成紙(ユポなど)、トレーシングペーパーやメタル系の用紙なども、UVインキであれば速乾なのですぐに次の工程に進めます。
2.摩耗にたいする耐性が高い
油性インキは後加工などで擦りキズが付いたりすることがありますが、UVインキは乾燥したときインキの皮膜表面の硬度が非常に高いため、キズなどがつきにくい特性があります。
3.環境にやさしい
UVインキはインキ乾燥に伴う溶剤、VOC(揮発性有機化合物:常温常圧で揮発する人工的に合成された物質)を含まず、また排ガス(炭酸ガス)も発生しません。また、そのために処理設備も不要で、省エネルギーにつながります。
さらに最近は乾燥装置の光源が従来のランプ方式からLED方式に進化しつつあり、消費電力の削減にも繋がっています。
4.スプレーパウダーを使わないので不純物が付着しにくい
UV印刷の場合は裏付き防止のスプレーパウダーを使用しないので、不純物を嫌う食品や医薬品・化粧品向けの包装紙やパッケージなど衛生面を気遣う印刷製品に向いています。
デメリットもある?
このようにいいとこだらけに思えるUV印刷ですが、もちろんデメリットもあります。
- 基本的に資材(インキ、ローラ、ブランケット)・設備(光源や照射装置)などが高価
- 後加工で折り加工の必要な場合、折り目に背割れ(罫割れ)が生じやすい
- 油性インキに比べて若干インキ部分に光沢が出にくいなど色管理が難しい
- 光源によっては発熱で高温になって用紙によっては伸縮や反りが生じる場合がある
ただ、デメリットについては、個々の印刷会社の環境によっても違ってきますので、詳しくは発注先の印刷会社にお問合せいただき、よくご相談のうえ、ご検討いただきたいと思います。
もちろん、弊社でもUV印刷に関するご相談はよろこんでお受けいたしております。