前々回の「明朝体」、前回の「ゴシック体」に続き、今回は弊社1927年製「営業のしおり」から「楷書体」「草書体」「隷書体」を紹介します。
ゴシック体編でも述べていたように、この見本帳が作られた当時は書体は明朝体とゴシック体のみでほとんど構成されていたようで、ここに紹介する「楷書体」「草書体」「隷書体」まで揃えている印刷所は比較的少なかったようです。
特に「草書体」はかなり文字をくずした書体のため、読める人が限られていて、現代のデジタルフォントでもほとんど見当たらず、非常に珍しい書体だと思います。ちなみに「楷書体」は二号から六号まで、「草書体」と「隷書体」はそれぞれ二・三・五号が掲載されています。
いずれの書体も活字書体がもともとは書き文字から起こされたものであることを色濃く感じさせる美しいフォルムで、現代のデジタルフォントとは明らかに一線を画しています。