今回ご紹介するユポ紙(合成紙)は、あまり一般的には馴染みのない名前ですが、実は日常生活のいろいろな場面で非常によく見かけます。
ユポ紙の特徴
ユポという名称は、本当はユポ紙を販売しているユポ・コーポレーションという会社の商品名として商標が登録されているのですが、一般的に合成紙のことをユポと呼んでしまっています。
合成紙とは、通常の紙が主に木材パルプを原料にしているのに対して、石油からできる合成樹脂のポリプロピレンを主原料とした紙の総称です。
したがって見た目は紙ですが、実際はプラスチックフィルムに似た特性を有しているため、木材パルプを原料とした紙と比較した場合格段に耐水性に優れており、水にぬれても破れ易くなったり、カールしてしまったり、溶解してしまうことがありません。
ユポ紙の価格
価格は通常の上質紙やコート・アート紙などの塗工紙などに比べてもかなり高価なうえ、オフセット印刷など通常と同じ印刷技法で印刷はできますが乾燥が極めて遅い、折りや型抜きなど後加工に様々な留意が必要、などのデメリットもあります。
ただ、オフセット印刷では、近年UVインキ印刷の普及により乾燥が遅い問題はクリアできますので、ユポや合成紙にはUVインキ印刷をお奨めします。
ユポ紙の弱点
熱には弱い傾向があるのでレーザープリンタなど熱を帯びやすいプリンタに使用すると収縮して印刷できなかったり、プリンタに詰まってしまうトラブルが起こる可能性もありますが、インクジェットプリンタ用には専用のユポ紙が開発されています。
ユポ紙の用途
屋外で雨に濡れても大丈夫なため、以下のようなものに多く使われます。
ポスター、POP、シール、ステッカー、ショッピングバッグ、包装紙、宅配便用袋
加えて非常に破れにくいこともあって地図に使われたり、鉛筆やボールペン、油性ペンなどの書き心地も良いため、ゴルフのスコアカードなどにもよく使われています。
また選挙の投票用紙の場合、この書き味の良さに加え、折りに対する復元性の高さもユポ(合成紙)が採用された大きな理由です。
さらには紙の厚さなどのバリエーションもかなり豊富なので、ほかにも電飾看板やレストランのメニュー、医療現場ではレントゲン袋や検体ラベルなど、その特性を生かした用途は幅広くあります。
詳しくはユポ・コーポレーションのパンフレット(PDF)にて紹介されておりましたのでご覧ください。
YUPO QUICK GUIDE|PDFパンフレット
合成紙を扱う主なメーカー
ちなみにユポ以外の合成紙には以下のようなものがありますが、それぞれ主原料が違い、メーカーごとに用途に応じたグレードが用意されています。