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山口荘八さんの工房の次に伺ったのが、岩野平三郎製紙所です。
こちらは国内最大の手漉き和紙工房といわれ、特に画紙の抄造は初代から越前一の名工とうたわれ、現代にいたるまで多くの著名な近代日本画家たちに愛用されてきました。
上の写真は工房の中でも一番大きな漉き舟で、特大の特注和紙を漉くための設備です。
この日はまず、煮上がりした原料の雁皮(ガンピ)や三椏(ミツマタ)からゴミやチリなどの不純物を手作業で取り除く作業を見学させてもらいました。
以前は紙漉きを担当されていたベテランの従業員さんが、ほんとうに細かいところまで丹念にゴミやチリを取り除いておられます。
このあと漉きやすいように細かく裁断されます。
こちらの写真は「ねり」といって、和紙を流し漉きする際に紙料と混ぜ合わせる植物粘液で、トロロアオイの根などから作られます。
このねりを混ぜることによって紙料が水の中で均一に漂浮して漉簀の操作がやりやすくなるほか、紙自体の腰を強くする効果もあるそうです。
この日はいくつかの漉き舟で、それぞれ二人一組で職人さんたちが襖判の大きさぐらいの「雲肌麻紙」を次々と漉かれていました。
こちらの工房の四代目社長さんは女性の方なのですが、従業員さんも若い女性の方が目立っていました。
さて、漉き上がった和紙は隣の作業場で、濡れて水分を含んだ状態のまま二人がかりでヘラで気泡を抜きながら乾燥用の干し板に平坦に貼りつけます。
そしてその和紙を貼り付けた板を乾燥用の室に入れてしっかり乾燥させます。
乾燥が終わった和紙は再び室から取り出され、このあと台板から和紙をヘラで剥がすと完成です。
ふたたびつづく・・・・
参照サイト:福井県和紙工業協同組合 「越前和紙®」
越前和紙の里