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印刷用語集

Mインキ・Sインキ

こちらの記事は、旧サイト・ブログの記事を加筆・修正したものです。
Mインキ・Sインキ

今年の冬は大変厳しい寒さでしたが、ようやく3月に入って、春を感じさせるおだやかな陽気になってきました。
ところで、季節の変わり目は毎日気温が大きく上下したりするので不断健康な人でも体調を崩すことも多くなりますが、、印刷の現場も気温の急激な変化は大きな影響が出ます。

前日に印刷したインキが乾かない!?

数年前の話になるのですが、ある朝に協力会社さんから前日印刷した冊子の表紙が今朝になってもインキが乾いていないので、断裁ができない、との連絡が入りました。この冊子は週末には製本を終えて納品しなければなりませんでしたので非常事態です。
確かにプロセスカラーで全面赤ベタのデザインでしたので、インキは紙全面によく盛られていましたが、事前の本機・本紙による色校正ではなんら乾燥に問題がなかったものが、なぜ本番で乾かなくなったかというと、その原因はおそらく気温の急激な変化です。

印刷用インキと気温の関係

基本的に印刷用のインキは温度が高いほうが乾燥は速くなり、温度が10度上がれば2倍速く乾燥すると言われています。しかし湿度は高いほうが乾燥は遅れ、湿度が低ければ乾燥は速まります。
そこで気温も湿度も高い夏の時期には粘度の高いハードタイプ(インキの缶に「M」と表記)の夏用インキを、気温も湿度も低い冬の時期は粘度の低いソフトタイプ(同じく「S」と表記)の冬用インキを季節によって使い分けています。
ところが、この年は夏の猛暑の影響のためか、10月の下旬になっても例年に比べて気温が高かったため、まだ夏用インキを使用していたところに、急に気温が10℃近く下がったため、普通なら一晩置いておけばセット(乾燥)するインキが翌日になっても乾かなかったようです。

どうやって乾かすか?

では、どうやって速く乾かすかというと、基本的には湿度の低い場所で、出来るだけ印刷面に空気を当てて乾燥を促すしかありません。
具体的には、枚葉のオフセット印刷の場合、印刷が終わった後は通常紙を積み重ねたままで乾燥を待つのですが、そうすると、1枚1枚にはよく空気が当たらないので、簀の子などを用いて少量ずつ紙の重なりをバラして、少しでも印刷面に空気が当たるように干します。
極端に言えば、1枚ずつバラバラに干すのがベストです。
このときは、協力会社さんの懸命の手配のおかげでなんとか印刷の翌々日にはインキが乾き、製本作業に入ることができましたので、お客様には迷惑をお掛けすることなく無事納品することができました。

ちなみにUV装置を設置した印刷機でUVインキを使用した場合は即乾燥しますのでこれらの心配はなく、印刷直後から次の工程にすすむことができますし、また両面印刷の場合も通常は2日がかりのところを1日で両面を刷ることができます。これはUV(紫外線)を照射することで瞬時に硬化するインキもを使っているためです。また、スクリーン印刷や活版印刷では、普段から刷り上がった直後から簀の子やラックにバラして干すことが多いようです。

弊社の活版工場で使用していた簀の子
スクリーン工場で使用しているラック

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