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京都仁王門上ル下ル

毎日でも食べられる優しい味のスープと定食の韓国料理店【ピニョ食堂】


オープンしたときから滅茶苦茶気になっていたお店です。
初めて頂いた韓国伝統のスープはまるで
京都の上品なお出汁のように雑味がなくてやさしい味わいでした。

韓国料理のイメージを変えた淡白で滋味深い朝鮮宮廷料理との出合い

ここ数年、仁王門に以前のような賑わいが戻りつつあるのは、ある店の出店がきっかけだったといわれている。
その店とは、仁王門通川端の角地に錆びたトタン屋根の小さな店舗を構える「ピニョ食堂」。
在日三世の全敞一(チョンチャンイル)さんが、6年前にオープンしたスープと定食の韓国料理店だ。

ピニョ食堂 外観
土壁に錆びたトタン屋根を巡らせた外観

全さんは、芸大卒業後に数々の飲食店でアルバイトをしながら生活。
30歳を目前にしてそろそろ独立をと考えた時、スペインバルなどさまざまな業態に関心を持っていたものの、「どれも何かしっくりこなかった」と振り返る。

自分の道を模索する日々の中、ふと韓国料理を学ぼうと思い立ちインターネットで検索したところ、全さんが今も「先生」と慕う料理研究家なすんじゃさんとの出会いがあった。
なすんじゃさんは、朝鮮宮廷料理を本場韓国で第一人者から学び、アレンジなどを加えない本来の味を継承。京都を拠点に活動している。

京都に本格的な韓国料理の教室があると知った全さんは、すぐさま通い始める。
日本人に馴染のある韓国料理は、どちらかというと刺激的な味が多いが、なすんじゃさんの料理は違った。
「驚くほど滋味深く淡白な味でした。僕自身も刺激のある味で育ったので、本当に衝撃を受けました。
こんなにも美味しい韓国料理はもっと広めたい。だったら、それをスープにして伝えようと決意したんです」。

ピニョ食堂店主 全敞一さん
店主の全敞一さんは今も宮廷料理の教室で学び続けている

手間を惜しまず素材から丁寧に味を引き出すスープを定食で

物件探しは、自転車で走りまわることから始まった。
出店地には理想とする3つの条件があり、まず周辺に競合する飲食店がないこと、それから大通りに面していること、さらにはそばに川も流れていることだ。
条件に挙げたはじめのふたつは、繁盛店のオーナーからのアドバイスだ。
残りのひとつは、印象深い映画のロケ地にもなった京都のカフェの前に、小川が流れていたからだ。

いくら足で探しても条件に合う物件はなかったが、不動産屋のサイトで理想に近い仁王門の今の物件を見つけた。
「小川をイメージしていたので、鴨川はちょっと大きすぎましたが(笑)、それでもひと目見てこの場所を気に入りました」。

しばらく空き状態だった店舗は、大工さんの手も借りながら自分たちでリフォーム。
「韓国の小屋をイメージしながらつくりました。韓国も田舎へ行くと土壁の家があるので、壁は自分たちで塗りました。
木が歪んでいたりするのは、素朴な感じを出したかったからです」。

ピニョ食堂 外観
外観にも個性的なディスプレイが。細部にまでこだわって店をつくりあげた

メニューは、メインのスープにおかず3品とご飯の付く定食が中心。
スープは自然素材から丁寧につくり、例えばソルロンタンは、牛のすね肉と骨をじっくり煮込みながら、何度もアクを取り、濾しながら、澄んだ味に仕上げている。
手間を惜しまず、時間もしっかりかけてつくる姿勢は、なすんじゃさんから学んだ。一杯のスープには朝鮮宮廷料理の精神が流れている。

ピニョ食堂 ソルロンタン定食
ソルロンタン定食1000円。あっさりとした風味のスープは好みで塩かコショウをプラス。肉にはアミの塩辛とごま油をつける
ピニョ食堂 アミの塩辛
アミの塩辛は海老の一種であるアキアミを塩漬けにした調味料
ピニョ食堂 コンビヂチゲ定食
女性の一番人気はコンビヂチゲ定食900円。クリーミーな大豆のスープにキムチをあわせている

仁王門の住人と交流しながら新しい風を運ぶ

カウンター9席、4人掛けテーブルが1卓のこぢんまりとした店には、女性一人でも気後れなく入ることができる。
全さんは、自分の店を「何でもない食堂にしたかった」と話す。
今日は韓国料理だと気負わず、普段の食事の延長のように誰もがパッと来て気軽に食べられる、そんな店を心掛けている。
メニューは昼夜ともに同じ。それを知る常連客は、夕食にフラッと立ち寄って定食を味わっている。
ピニョ食堂 店内
仁王門に出店する若い世代の多くがそうであるように、全さんも地域との関わりを大切にしている。
もっとも、オープンしてから2年程は町の掃除を仲間とともに朝の8時から始め、それをきっかけにすでに交流は深めている。
今では、どうかすると古くからの住人よりも地域の人たちに詳しい、なんてこともあるそうだ。

仁王門で店を始めてからは「人と人をつなぐことにも喜びを感じるようになりました」と全さん。
仁王門にある空き物件のオーナーとここで店を始めたい人をつなぐなど、新しい人をこの町に招く橋渡しにもひと役買っている。
自らの店を起点に、住人たちと一歩ずつ築く信頼関係が、仁王門に新しい風を呼び込んでいる。

ピニョ食堂 メニューイラスト
全さんがメニューに描いたあたたかいタッチのイラスト

(構成・文/古都真由美 写真/からふね屋 古都真由美)

ピニョ食堂
住所:京都市左京区孫橋町18-3
電話:075-746-2444
URL:http://pinyoshokudou.com
営業時間:営業時間:11時半~14時半( LO14時 )、17時半~ 22時( LO21時半 )
定休日:木曜

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