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京都仁王門上ル下ル

昭和28年創業。定食は約30種、安くておいしいが信条の町の食堂【はやし】


私が生まれる前からこの地で営業されている
安くてボリューム満点で、もちろんおいしい
学生さんから観光客にまで人気の町の食堂です。

祖母がはじめた食堂を継ぎ、身内で切り盛りする3代目の奮闘

ご飯とみそ汁とおかず。これをセットにした定食は日本の愛される日常食。毎日いったいどれくらいの人が、このセットメニューを食べているのだろうか。

東山三条から南へ少し下がったところで、昭和28年から続く食堂「はやし」は、これまでにたくさんの人の胃袋をつかんできた。定食はざっと30種ある。
それを朝から晩までつくり続け、昼時は仁王門界隈の人や観光客で賑わう。

食堂はやし 外観
現在地で創業。店は一度大規模な改修をしている

現在、店を切り盛りするのは三代目の林学さんと、学さんの母、伯母、早くに見初めた奥さんの智恵子さんだ。
創業したのは学さんの祖母うめのさん。祖父の後妻に入ったうめのさんは、なかなかの商才を発揮して、はじめにアイスキャンディー店、のちに食堂「はやし」の暖簾をあげている。

食堂はやし 3代目の林学さん智恵子さん夫妻
3代目の林学さん智恵子さん夫妻

学さんは会社勤めを早々に辞めて「(会社勤めよりもずっと)小遣いが増えると思って家業に戻ってきたんです」と話す。その時、26歳。すでに智恵子さんと結婚していた。

それなりに流行っていると思っていた家業は「蓋を開けてみるとそうでもなかった」と学さん。当時のメニューは丼やうどんが中心。二代目を継いでいた頼みの父は、昼に常連客への配達を終えると酒を飲みはじめ、母や伯母の働きはあるものの、当然ながら売り上げは乏しかった。

小遣いを増やすために会社まで辞めて戻った学さんは、もちろんそんな状況に長く甘んじる訳にいかず、もっと配達を増やそうと、店のメニューをワープロで打ち、近隣の住宅や会社へポスティング。「有難いことにすぐに反応はあり、会社やお寺さんからたくさん注文がとれたんです」。

一番人気のとんかつ定食はボリューム満点、素早い提供も評判

学さんが30歳を迎えた頃には娘も授かり、そこで心機一転、店の大規模な改修工事にも着手。現在の店が完成する。

食堂はやし 店内
程好い広さの店内には6人掛けや8人掛けのテーブル席が用意され、忙しい時間帯はみな相席で利用している

ちょうど同じ頃、地下鉄開通工事や近隣の女子高の大規模改修工事が始まったこともあり、店には学食を一時的に失った女学生などが訪れるようになった。
かつては、売り上げを阪急電車の区間料金に例え、「今日は(大阪の)十三まで行けた」と嘆き節だった商売はいよいよ繁盛。
そうなると人手も足りなくなり、創業以来、はじめて身内以外の戦力となる学生アルバイトを雇うことになった。
追い風は、店に〝スターアルバイト〟まで用意する。京大生、甲子園にも出場する私学野球部のキャプテン、見た目もいい彼らに夢中になった女子高生が、当時一番のご贔屓筋になった。

しかし女子高の工事が完了して学食が復活し、人気の学生アルバイトも店を卒業すると、店にはまた落ち着きが戻った。
その頃から力を入れ始めたのが、今や看板とも呼べる定食メニューだ。

学さんが店を継いだ当時、定食はトンカツやチキンカツ、ウインナーサラダなど6種程だったという。
おそらくどこにもないウインナーサラダ定食は、サラダの上にウインナー5本が乗る斬新なメニュー。
ある料理雑誌を見ていた学さんの父が「これからはサラダの時代だ」と考えだしたものだ。
「その頃、定食自体がそんなになかったと聞いています。ウインナーサラダはよく売れたそうです」。

アイデア勝負なら学さんだって負けてはいない。なんと言ってもそれから数を20種類以上増やし、季節メニューや新作を今もつくり続けているのだ。

食堂はやし 壁メニュー
学さん考案のおすすめのメニューが壁に貼りだされている

ヒット作は、トンカツ定食を大根おろしで食べるおろしトンカツ定食だ。トンカツ定食は、ほかに胡麻ソース味もあり、ボリューム満点の分量と味に加え、素早い提供も人気の理由になっている。

食堂はやし とんかつ定食
豚ロースカツが2枚付くとんかつ定食750円。

あらかじめ仕込みをして、注文後は揚げるだけの段取りの良さで素早く提供している

定番のオムライスは客と店とが阿吽の呼吸で守る味

「はやし」は、なにも定食ばかりではない。単品メニューも豊富で、オムライスは不動の地位を築き、かつてはメディアにもよく紹介されたそうだ。
薄く焼いた玉子にギッシリご飯が詰まって580円という価格は、創業来の安くておいしいを貫く林さんの信条そのもの。

食堂はやし オムライス
ご飯はケチャップで味つけしているが一般的なチキンライスより色は薄く最後まで食べ飽きることがない

このメニューを常連客は昼時に注文しない。
身内で切り盛りし、仕込みをしたものを素早く提供することで価格も店も守っている店主に、手間のかかるオムライスを忙しい時間帯に頼まないのだ。

林さんは、創業から60数年のなかでさまざまな変遷をたどったことを振り返りながら、今後については「行きあたりばったりでいいと思っています」と話す。
自分の力の及ぶこと、及ばないことを身をもって経験し、商売は水物であることを知るからこそ、いい意味で店との距離をはかるのだろうか。

一方の智恵子さんは、「もっと外国人客に来ていただきたいですね」と意欲的だ。
それもそのはずで、智恵子さんは肝心の語学に長ける。「はやし」の次幕は、外国人のメッカとしての紹介になるのかもしれない。

食堂はやし 店頭看板
店頭には店の信条とともに創業当時の様子が写真で紹介されている

(構成・文・写真/古都真由美)

はやし
住所:京都市東山区東大路三条下る北木之元町523
電話:075-561-1530
営業時間:10:30~22:00
定休日:日曜

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