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京都仁王門上ル下ル

祭りや行事とともにある京の暮らしに寄り添う花店 【花の店 あずさ】

花の店・あずさ 外観


「昔からご夫婦でやってらっしゃるお店で
僕も花を贈る時は
よくここでお願いしています」

東京で修業後に幼少期を過ごした仁王門で開業

1976年の開業以来、仁王門界隈の花屋さんとして愛され続けている「花の店 あづさ」。

創業したのは、今も店に立つ樋上正芳さんだ。
樋上さんは、東京農業大学で学び、卒業後は東京の花店に勤めている。
しばらくしてから実家のある京都へ戻り、有名店で再び修業した後に、独立を果たした。

京都市右京区の龍安寺近くに実家があるという樋上さんが、仁王門を出店地に選んだのは「幼少期を新洞小学校区で過ごしたからではないでしょうか」と、長男の正晃さんは話す。
新洞小学校は、仁王門通の北側に1869年(明治2)に創立され、2013年まで数多の子供たちを育成。校舎は今も当時のままを留めている。

父正芳さんがゆかりの地で始めた店で、正晃さんは約10年前から両親と一緒に働くようになった。
今では頼もしい後継者に成長。この日の取材も正晃さんが応じてくれた。
花の店・あずさ 店内

祇園祭には檜扇を、京都の祭りや行事に沿った花も販売

店内にはさまざまな花が並び、ガラスショーケースの中では和花がささやかな芳香を放っている。
花の仕入れは、今も父正芳さんの仕事だ。
東京の次に大きな市場だという大阪鶴見花き地方卸売り市場へ、週2回ほど足を運び、仲卸人を通じて、または自分でセリ落として、店に合う花を仕入れてくる。

7月に決まって仕入れる花のひとつに檜扇がある。
檜扇とはアヤメ科の一種で、剣のような形状の葉が放射状に開く姿が、宮中で使われた檜扇に似ていることから、この名が付いたと云われている。

京都には、祇園祭に檜扇を生ける風習がある。
前祭(さきまつり)、後祭(あとまつり)で巡行する山鉾町が有する町家のお飾りや、旧家や老舗が自身の町家で調度品などを披露する屏風祭(7月14日~7月16日/7月21日~7月23日)でも生けられている。

この風習が、いつ頃定着したのかは定かでないらしいが、檜扇に厄除けのご利益が謳われ、暑さにも強かったことから選ばれたのかもしれない。
花の店・あずさ 店内
そんな檜扇のすぐ隣で、ひとまわり小さな姫檜扇が並んでいるのは、正芳さんの趣味を反映してのことだ。
「父は和花や小花が昔から好きなので、そういった花もうちの店にはよく並んでいますね」。

さまざまな個性が咲き揃う中で、小花がきりりと存在をしめす様子は、洒脱で洗練されたものを好む京都の人の在り方と重なる。
季節の掛け軸とともに床の間を飾れば、それはもう京都の夏景色以外の何ものでもない。

姫檜扇(ヒメヒオウギ)
姫檜扇(ヒメヒオウギ)

花を通じて飲食店や寺院、地域の人と交流

創業から42年、両親が一所で商い続けてきた花店の仕事を通じて、正晃さんは「たくさんの人とのつながりを持てました」と胸を張る。

お客さんの層は幅広く、近隣の飲食店や旅館、周囲に集中する寺院とも花の縁で結ばれている。
また、正晃さんの祖父が酒販業に就いていた関係で、今も酒屋と交流があり、祇園の飲食店へ配達することもある。

京都市左京区のロームシアター京都で公演が行われる日や、近くの京都文教中学校・高等学校の入学式、卒業式には、いつもと違う客が訪れることも珍しくない。

「お客様と接していて、花は本当に人の人生に寄り添うものだと実感しています。あらゆる場面で必要とされる花屋の仕事に、僕はとてもやりがいを感じています」。
花の店・あずさ 店内

2代目が目指すのは仁王門界隈の発展につながる花店

店は年中無休だ。花店を営みながら4人の子供を育てた樋上さん夫妻の実直な商いは、正晃さんにも受け継がれている。

加えて、正晃さんには今後の目標というものがある。
「この地域を盛り上げていきたいというのが一番にあります。
近くには、劇場もありますし、新しい飲食店も出来ている。
僕は一輪でもいいから、日常に取り入れたくなるような花を提案する花屋を目指し、地域の一員として貢献していきたいです」。
花の店・あずさ 樋上正晃さん

[文・構成/古都真由美 写真/中塚政裕(からふね屋)]

花の店 あづさ
京都市左京区東大路仁王門下る東門前町528-6
電話:075-761-0035
営業時間:9時~18時半
定休日:無休

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